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2026.10.18

売上が増えているのに利益が残らないのはなぜ?原因と改善ポイントを解説

税務情報
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「売上は去年より増えているのに、なぜか利益が残らない」中小企業の経営者の方から、このようなご相談をいただくことがあります。売上が伸びれば、当然利益も増えると思われるかもしれません。

しかし実際には、売上が増えているにもかかわらず、利益が減っている会社は珍しくありません。たとえば、売上が1億円から1億2,000万円に増えたとしても、そのために原価や外注費、人件費、広告費などがそれ以上に増えていれば、利益はむしろ減ってしまいます。

会社経営では、「売上が増えたかどうか」だけを見るのではなく、「その売上をつくるために、いくら費用がかかったのか」まで確認することが重要です。

この記事では、売上が増えているのに利益が残らない主な原因と、経営者が確認しておきたい数字について分かりやすく解説します。

売上が増えても利益が増えるとは限らない

まず理解しておきたいのが、売上と利益は別のものだということです。非常に単純化すると、会社の利益は、売上 − 費用 = 利益で決まります。

たとえば、前年の売上が1億円、費用が9,000万円だった会社であれば、利益は1,000万円です。翌年、売上が1億2,000万円まで増えたとしても、費用が1億1,500万円まで増えていれば、利益は500万円しか残りません。

売上は2,000万円増えていますが、利益は500万円減っています。つまり、売上の増加率よりも、費用の増加率の方が大きければ、売上が伸びても利益は減ります。

売上だけを見て「会社が成長している」と判断すると、実際の収益性を見誤る可能性があります。

最初に確認したいのは「粗利益」

売上が増えているのに利益が残らない場合、まず確認したいのが粗利益です。粗利益とは、一般的には売上から売上原価を差し引いた利益のことです。

たとえば、売上1,000万円、原価600万円であれば、粗利益は400万円です。粗利益率は40%になります。ところが翌年、

売上1,200万円、原価800万円になった場合、粗利益は400万円のままです。売上は200万円増えていますが、粗利益は一円も増えていません。粗利益率で見ると、40%から約33%まで低下しています。この状態で人件費や家賃、広告費などが増えれば、最終的な利益は簡単に減ってしまいます。

そのため、売上が伸びたときほど、「売上はいくら増えたのか」だけではなく、「粗利益はいくら増えたのか」「粗利益率は下がっていないか」を確認する必要があります。

原価が上がって利益が減っている

売上が増えているのに利益が残らない代表的な原因の一つが、原価の上昇です。製造業や飲食業、小売業などでは、材料費や仕入価格が上昇すると、売上が同じでも利益が減ります。

たとえば、1万円で販売している商品について、以前は原価6,000円だったものが、7,000円に上昇したとします。販売価格を変えなければ、1個販売したときの粗利益は、4,000円から3,000円に減ります。

販売数量が増えて売上自体は伸びていても、1件あたりの利益が減っていれば、会社全体としては思ったほど利益が残りません。特に注意したいのが、原価が少しずつ上昇しているケースです。

仕入価格が数%上がっただけでは、大きな変化に見えないかもしれません。しかし、年間売上が数千万円、数億円という会社では、原価率が数%変わるだけでも利益への影響は大きくなります。

外注費が増えすぎている

制作会社、建設業、IT企業、コンサルティング業などでは、外注費も大きなポイントになります。売上が増えると、自社だけでは仕事を処理できなくなり、外部の会社やフリーランスへ業務を依頼するケースがあります。

外注そのものが悪いわけではありません。むしろ、固定費を増やさず売上を伸ばすために、外注を活用することは有効です。問題なのは、売上の増加以上に外注費が増えている場合です。

たとえば、売上500万円の案件で外注費が150万円だったものが、売上600万円の案件で外注費が300万円になっているとします。売上は100万円増えていますが、外注費は150万円増えています。

この場合、案件規模は大きくなっていても、会社に残る利益は減っています。

そのため、案件ごとに、「売上」「外注費」「その他原価」「粗利益」「粗利益率」まで確認することが重要です。「売上が大きい案件=良い案件」とは限りません。

人件費が売上より先に増えている

会社が成長すると、人を採用する機会も増えてきます。人材採用は、会社の成長に必要な投資です。ただし、人件費は毎月発生する固定費になりやすいため、利益への影響も大きくなります。

たとえば、新たに社員を2名採用し、会社負担を含めて年間1,000万円程度の人件費が増えたとします。その採用によって売上が年間1,500万円増えたとしても、新たに発生した外注費や広告費、設備費などを含めれば、実際には利益がほとんど増えていない可能性もあります。

また、人を採用してから売上に貢献するまでには時間がかかることがあります。そのため、「売上が増えたのに利益が減った」という場合でも、将来の成長に向けた採用によって一時的に利益が減っているのであれば、必ずしも悪い状態とは限りません。

重要なのは、人件費が増えた理由と、その人件費が将来どの程度の売上や粗利益につながるのかを把握しているかという点です。

広告費を増やしているが、利益につながっていない

売上を伸ばすために、広告費を増やす会社もあります。広告によって売上が増えているのであれば、一見すると問題ないように思えます。

しかし、広告経由で獲得した売上に対して、広告費が大きすぎれば利益は残りません。たとえば、広告費を100万円使って300万円の売上を獲得したとします。これだけを見ると、売上が300万円増えたため成功しているように見えます。

しかし、その300万円の売上に対して、「原価150万円」「広告費100万円」がかかっていれば、残るのは50万円です。さらに人件費などを考えると、ほとんど利益が出ていない可能性もあります。

そのため広告は、「売上がいくら増えたか」だけではなく、「広告費を差し引いたあと、粗利益がいくら残ったか」まで確認する必要があります。

値引きによって売上だけが増えている

売上を伸ばすために値下げやキャンペーンを行うケースもあります。販売数量が増えれば、売上高自体は増えることがあります。しかし、値下げによって1件あたりの利益が大きく減っていれば、売れば売るほど忙しくなる一方で、利益が残らない状態になることがあります。

たとえば、通常10万円で販売しているサービスの原価が6万円だった場合、粗利益は4万円です。これを8万円まで値下げすると、粗利益は2万円になります。

粗利益が半分になったため、以前と同じ粗利益を確保するには、単純計算で2倍の件数を販売する必要があります。

その結果、「売上は増えている」「仕事量も増えている」「社員も忙しい」にもかかわらず、利益はあまり増えていないという状態が起こります。「忙しい=儲かっている」とは限りません。

売上構成が変わって利益率が下がっている

会社全体の売上が伸びていても、どの商品・サービスが売れているかによって利益は変わります。たとえば、「A事業は粗利益率60%」「B事業は粗利益率20%」だったとします。

前年はA事業が中心だったものの、今年はB事業の売上が大幅に増えた。この場合、会社全体の売上高は増えていても、全体の粗利益率は低下する可能性があります。

そのため、「会社全体の売上」だけではなく、「商品別」「サービス別」「事業別」「顧客別」「案件別」に利益を見ていくことも重要です。

売上が増えている原因が「利益率の低い仕事を大量に受注しているから」であれば、会社としては忙しくなる一方で、利益が残りにくくなります。

売上を増やすために固定費が膨らんでいる

売上が伸びる過程では、人件費以外の固定費も増えることがあります。たとえば、「オフィスを広くする」「営業車を増やす」「システムを導入する」「管理職を採用する」「新しい拠点を出す」といった支出です。

こうした投資が将来の成長につながるのであれば、一定期間利益が下がること自体は問題ではありません。ただし、売上が想定ほど伸びなかった場合には、増えた固定費だけが残ります。

固定費は売上が減っても簡単には下がりません。そのため、売上拡大に伴って固定費を増やす場合には、「売上がどこまで増えれば、この固定費を回収できるのか」をあらかじめ確認しておくことが大切です。

「売上」より「1件あたりいくら残るか」を見る

利益が残らない会社では、売上目標だけを追いかけているケースがあります。たとえば、「今月は1,000万円売る」という目標だけを設定しているとします。

しかし、利益率が低い仕事を大量に受注して1,000万円を達成するのと、利益率の高い仕事で1,000万円を達成するのでは、会社に残る利益は大きく違います。

そのため、経営では売上だけでなく、「粗利益」「粗利益率」「1件あたりの利益」「社員1人あたりの粗利益」なども見る必要があります。

たとえば、「売上1,000万円」「粗利益400万円」の月と、「売上900万円」「粗利益500万円」の月であれば、後者の方が売上は低くても、会社には多くの利益が残ります。売上を増やすことそのものが目的ではなく、利益の残る売上を増やすことが重要です。

利益が減っている原因は「固定費」なのか「変動費」なのか

売上が増えているのに利益が減っている場合には、費用を大きく2つに分けて考えると原因を見つけやすくなります。一つは、売上に連動して増える費用です。

「仕入」「材料費」「外注費」「販売手数料」「配送費」などが該当します。もう一つが、売上に関係なく発生しやすい固定費です。「人件費」「家賃」「システム利用料」「リース料」「顧問料」などです。

売上が伸びたにもかかわらず利益が減っている場合、原価率が上がっているのか。外注費が増えているのか。人件費などの固定費が先行して増えているのか。

どこに原因があるのかを分けて確認する必要があります。原因が違えば、対策も変わります。

売上が伸びている会社ほど前年との比較が重要

売上が増えていると、どうしても経営者の意識は「今月いくら売れたか」に向きがちです。しかし、売上が成長している会社ほど、前年との比較が重要になります。

たとえば、「売上 前年比120%」「粗利益 前年比105%」「人件費 前年比130%」「広告費 前年比160%」「営業利益 前年比70%」となっているのであれば、売上自体は非常に伸びています。

しかし、費用の増加率が売上を上回っているため、利益は減っています。この場合、「売上が20%伸びた」という数字だけを見るのではなく、利益を生み出すためのコストがどのくらい増えたのかを見る必要があります。

前年同月や前年累計との比較を行うことで、単月の数字だけでは気付きにくい変化を見つけやすくなります。

利益が減ったからといって、すぐに経費削減する必要はない

利益が減っていると分かると、「経費を削らなければ」と考える方もいるかもしれません。もちろん、不要な経費を見直すことは重要です。

ただし、利益が減っている原因によっては、単純な経費削減が正解とは限りません。たとえば、人材採用や広告、新店舗など、将来の売上を増やすために意図的に費用を増やしている場合があります。

その場合、短期的には利益が減っていても、計画どおりであれば問題ありません。一方で、「なぜ広告費が増えたのか分からない」

「人員を増やしたが、売上への影響を把握していない」「外注費が増えていることに気付いていなかった」という状態であれば、見直しが必要です。

大切なのは、利益が減っていることそのものではなく、なぜ利益が減っているのかを経営者が説明できる状態にすることです。

上辻会計事務所では「売上」だけで経営を見ない

経営者の方にとって、売上は非常に分かりやすい数字です。昨年より売上が増えた。過去最高売上になった。月商1,000万円を超えた。こうした数字は、会社の成長を感じやすい指標でもあります。

ただし、会社経営で本当に重要なのは、売上をつくったあとに、いくら粗利益が残ったのか。そこから人件費や広告費などを支払い、いくら営業利益が残ったのか。税金や借入金返済などを経て、最終的に会社にいくら現金が残ったのか。というところまで確認することです。

上辻会計事務所では、売上高だけを見るのではなく、粗利益や利益率、固定費、資金繰りまで含めて数字を見ることが大切だと考えています。

売上が増えたかどうかではなく、「その売上が、会社にどれだけ利益と現金を残しているのか」を見ていくことで、次にどの売上を伸ばすべきなのか、どの費用を見直すべきなのかといった経営判断につなげることができます。

増やすべきなのは「売上」ではなく「利益の残る売上」

売上が増えているのに利益が残らない場合、必ずどこかに理由があります。「原価率が上がっている。」「外注費が増えている。」「人件費が先行して増えている。」「広告費が利益につながっていない。」「値引きによって利益率が下がっている。」「利益率の低い商品や案件の割合が増えている。」「固定費が膨らんでいる。」こうした原因を一つずつ確認していくことが重要です。

そのためには、「売上はいくらか」だけを見るのではなく、「売上」「粗利益」「粗利益率」「人件費」「外注費」「広告費」「営業利益」といった数字を継続的に確認していく必要があります。

会社経営では、売上が大きいこと自体が目的ではありません。売上をつくった結果、会社に利益が残り、その利益を将来の投資や資金として活用できることが大切です。

「売上は増えているのに利益が残らない」「以前より忙しくなったのに会社のお金が増えない」「どの商品や案件で利益が出ているのか分からない」「人件費や外注費をどこまで増やしていいのか分からない」このような場合には、一度、売上高だけではなく、粗利益や費用の増減まで含めて会社の数字を整理してみることをおすすめします。

上辻会計事務所では、月次の数字や利益率、費用構造、資金繰りなどを確認しながら、大阪の中小企業経営者の皆さまが数字を経営判断に活用できるようサポートしています。

売上は伸びているのに利益が残らない、どこに原因があるのか分からないといったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

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